“AIで解決”が危ない理由|DX失敗事例から学ぶ成功のための3条件

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はじめに:AIは魔法の杖じゃない

近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に広まっています。
社内でも

「せっかくだからAIで導入してみよう」
「AIを入れたら業務効率化できそう」

といった会話を耳にすることが増えているのではないでしょうか。
しかし、とりあえずで始めたAI導入の多くは失敗に終わるのが現実です。
実際、調査によればAIプロジェクトの約80%は成果を出せずに頓挫しているといわれています(*1)。

この記事では、IT業界で有名な「顧客が本当に必要だったもの」の図をもとに、
AI導入が失敗する原因と、DXを成功させるために欠かせない3つの条件を解説します。

考えてみよう!DX失敗事例:ねじの数量確認

あなたは工場でDXを推進するメンバーです。
製造現場から、こんな相談を受けました。

出荷前に同封するねじの本数を確認したいんだけど、
 毎回目視で確認するの大変なんだよね。AIで数えられない?

工場の作業員がねじの数量確認をAIで解決できるか考えているイラスト

もしあなたなら、どのような方法を提案しますか?
ぜひ少し考えてみてください…!

AI導入のデメリットとは

AIでねじを数える方法は一見便利そうですが、以下のようなハードルもあります。

  • 撮影条件や光の反射による認識精度の低下
  • 学習データ作成やモデル調整にかかるコスト
  • 出荷検査として求められる「絶対的な正確性」

一方で、もっとシンプルで確実な方法も存在します。
それぞれの特徴を比べてみると、その違いは一目瞭然です。

スクロールできます

AI

はかり
コスト高い低い
精度学習結果次第非常に高い
導入期間数カ月~即日

そう、ネジは1本あたりの重さが一定なので、
重さを測れば本数はすぐ分かります。
この事例についてはそもそもAIなんて使う必要はなく、はかりを設置すれば解決するのです。

AIは話題性が高く、最新技術を入れると成果に見えやすいですが、
実際の運用を意識して導入を考えなければいけません。

「AIを入れたい」という、目的と手段がすり替わってはいけないのです。

「顧客が本当に必要だったもの」から学ぶDXの落とし穴

これは1970年代のIT業界から語り継がれる有名な風刺図で、
プロジェクトが失敗する典型パターンを示しています。

顧客が本当に必要だったもの(引用:ニコニコ大百科

図では、
顧客の説明→誤解したリーダーの理解→営業の過剰な約束・・・とどんどんズレていくことが分かります。
最後に「顧客が本当に必要だったもの」を見ると、タイヤが紐でくくられているだけでした。
そう、顧客は最小限ブランコで遊べればそれでよかったのです。

ここで大事なのは、

顧客自身も本当に必要なものを正確に把握できているとは限らない」

ということです。


経営層や現場の人は「AIでできない?」と
最新技術を前提に要望を出すこともありますが、
それが必ずしも最適解とは限りません。

一方、技術者は顧客の業務やビジネス背景を深く知らないため、要件をそのまま受け止めてしまいがちです。
結果として、高コスト・高難易度のシステムを作ったのに、本来の課題解決にはつながらない――そんな悲しい結末も珍しくありません。

だからこそ重要なのは、
顧客と技術者の対話を通じて「本当に必要なもの」を一緒に整理することです。
目的と手段を正しくすり合わせることで、ねじの事例のように、もっと安く、早く、確実に解決できる方法が見つかります。

AI導入の失敗を防ぐためのDX成功の3条件

「顧客が本当に欲しいもの」を整理するために、以下を意識してみましょう。

1.目的を先に決める
 「何を達成したいのか」を最初に明確化します。
 “AIを使うこと”が目的ではなく、売上アップ・不良削減・作業時間短縮などの成果をゴールとして定義します。

2.関係者と早い段階から対話する
 経営層(もしくは管理層)・現場担当・技術者が、計画初期から同じテーブルで話し合うことで、ズレを最小化します。

3.運用と改善まで見据える
 導入して終わりではなく、現場でどう使い続けられるか、どのタイミングで改善するかを事前に決めます。特にAIは、精度や環境変化に応じてチューニングが必要なので、保守・教育体制までセットで考え、実現できそうか考える必要があります。

まとめ | AI導入は”最先端”より”最適解”を。

  • AIは万能ではなく、「最先端」より「最適解」が大事
  • 関係者と協業し「顧客が本当に必要なもの」を探すのが、成功の近道

あなたの現場にも、「とりあえずAI」になっている業務はありませんか?
そのプロジェクトの目的ってなんだろう?手段先行になっていないかな?と一度考え直してみてください。

最先端より、最適解。
それが本当に価値あるDXです。

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引用
1:80% of AI Projects Fail – Why? And What Can We Do About It?

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この記事を書いた人

データ活用アドバイザー
精密機器メーカーでデータサイエンス組織立ち上げからAI開発/DX推進を進めています。
「タカデータワークス」 を創業し、様々な企業のDX推進をサポートしています。
現場の課題整理からシステム開発、業務改善まで一貫して支援。
「データ活用で日本の製造業を強くする」ことをテーマに活動しています。

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